yuhka-unoの日記

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「会社人」から「職人」の時代へ

2ちゃんねる管理人ひろゆき氏との対談で芽生えた 「外に出ない=ダメな人」という固定観念と コミュニケーション至上主義社会への疑問|「引きこもり」するオトナたち|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/9175
 
 改めて思ったことは、学校を何事もなく卒業して、就職できたとしても、周囲にチヤホヤされ、挫折することも、傷つく経験も積んでこなかった人が増えているのではないかということである。自分が中心で周りが自分に合わせてくれる、そんな自己万能感を持ったまま、大人になってしまった人たちにとって、社会に出てからは、必ずしも自分の思い通りになるわけではない。どこかで傷ついて、あるいは折り合いをつけながら、社会に適応していくことが求められる。しかし、地域や家庭、会社といった共同体が崩壊していく中で、子どもの頃からの自己万能感の傷つく体験を得られる環境がなくなってきているのではないか。

いやいやいや…これは今の若者に限ったことではないだろう(笑)。これは何十年も前から、少なくとも、学校を卒業したら会社に就職するというのがスタンダードな人生設計になった時代から、若者はずっとこう言われ続けているのではないだろうか。
そもそも、好景気で会社が学生の囲い込みをした時代ならともかく、現代の若者は不況の就職難の時代に生きていて、就職活動で100社ぐらい受けるとか面接で落とされまくるとか、そういうことを経験しているわけだから、むしろ社会に出る前に挫折はある程度経験することになるだろう。
 
最近の引きこもりの調査によると、就職活動中に挫折したり、就職してから挫折して引きこもりになる人が増えているらしい。これまでは、引きこもりになる人は学生時代に不登校だった人が大半で、一度就職してしまえばまず問題ないだろうと言われていたが、事情が違ってきているようだ。

 また、「引きこもり」状態になったきっかけを聞くと、「職場になじめなかった」が「病気」と並んで24%、「就職活動がうまくいかなかった」が20%と仕事に関するきっかけが多く、必ずしも「不登校の延長」(12%)とは限らない実態が、ここでも浮き彫りになった。
http://diamond.jp/articles/-/8897

私はこの原因を、日本の「社会人」のハードルがあまりにも高く設定されすぎているためだと考えている。高いハードルを設定して、そのハードルを越えられない者が「チヤホヤされて挫折に弱い若者」「自分が中心で周りが自分に合わせてくれると思っている者」と言われる社会では、社会からあぶれる者が多くなるのは当然だろう。
こういう社会では、既に引きこもりになっている人も疲弊しきっているが、今現在働いている人でさえ疲弊しきっていて、「引きこもり予備軍」になっている。
もっと言うならば、今までは労働者のほうが会社を「チヤホヤして」「会社中心で全て会社に合わせて」あげていたのではないだろうか。そうするのが正しい「社会人」の姿だとされていたのだ。その結果、「自分が中心で労働者が自分に合わせてくれると思っている会社」が出来上がってしまったと言える。
 
これまでは、卒業したら会社に就職するというのがスタンダードであり、社会人の常識といえば会社人の常識を指すというところがあった。会社に勤めず自分の好きな仕事をしていると、「いつまでもフラフラしていないで、いい加減ちゃんとしたところに勤めれば?」となどと言われたものだ。
しかし、就職難に加え、会社が必ずしも安定した職業ではなくなった今、会社に勤めるというのは職業人の一形態に過ぎず、それ以外の職業も同列に選択され扱われる時代になってきている。
会社人がスタンダードになる前の時代は、自宅か、他人の家で働いている人が多かった。農家や商家もそうだし、職人職もそうだ。会社人というのがそれほど安定的な職業ではなくなり、インターネットが発達して、家でできる仕事が増えた今、再び職人の時代になってきたのかもしれない。

id:deeske 黙々と働く職人気質の人が今も昔も一定の割合でいるとして、そういう人がコミュ力を必要とするサービス業に就かざるを得ない傾向が強まっているとすれば、それは少し不幸でもある気がする。
http://b.hatena.ne.jp/entry/diamond.jp/articles/-/9175