yuhka-unoの日記

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Hey Jude―父の浮気と両親の離婚―

The Beatles - Hey Jude

 
Hey Jude」は、中学時代の音楽の教科書に載っていて、それが初めての出会いだった。教科書には確か、離婚したジョン・レノンの息子ジュリアンのために、ポール・マッカートニーが創ったという説明が書いてあった。
父の浮気が原因で両親が離婚したのが、ちょうど中学生の頃だったので、私はその説明書きを見て、「ふーん」と思った。その時はただ単に「ふーん」止まりだった。教科書に書いてある説明書きと楽譜だけでは、「Hey Jude」はあまり意味を持たなかった。それはどの曲もそうかもしれないが。
 
中学生の頃、私は、両親の愚痴の受け皿にされていた。両親が離婚したことを、誰にも言えずに一人で抱えていた。両親が離婚したことそのものよりも、この時の両親の私に対する態度が、結局、後々まで私の心に傷を残すことになった。
その後、家庭環境が原因で生き辛さを抱えたまま過ごし、徐々に人生が狂っていって、全く働けなくなり、カウンセリングを受けて精神状態が回復してきた頃、ふとこの曲のことを思い出し、聴きたくなった。
中学生当時に聞いた(というよりは、見た)時とは、全く違う印象を受けた。「そうか、こんな曲だったのか」と思った。それ以来、この曲は私にとって「励ましソング」になった。
 
私は『本当の安心・安定とは、自己基準で生きるということ』で書いたとおり、後ろから背中を押して励ましてくれる大人の存在が乏しい中で育った。親が望む「しっかり者で面倒見の良いお姉ちゃん」として育てられた間、自分で自分の道を選択し行動するという、精神の中核的な部分が、幼児並みにしか育っていなかった。
なので私は、自分自身の生き辛さの問題点に気付いても、自分で自分を励まし、自分の判断で行動するということが、どうしてもできなかった。気付いた時点は、あくまでもスタート地点に過ぎず、気付いたからといって、いきなり問題が解決して、自由になれるわけではなかった。私はこれから、自分自身を育て直していかなければならなかった。
 
自分の「内部」に、自分自身を励ます要素がない以上、この問題を解決するためには、どうしても「外部」の助けが必要だと思った。家庭環境が原因だということは、親にそれは期待できないということであり、家庭外の第三者の援助が必要だった。
なので私は、まずカウンセリングに通い、次に高校時代の先生に連絡を取って、私を励まし応援してくれる「親的な存在」を確保した。しかし、いつもカウンセラーや先生の援助が得られるわけではないので、どうしても自分で行動を起こさなければならない時は、自分が励まされる本を読んだり音楽を聴いたりして、擬似的に「外部」からの助けを得ることによって、自分を奮い立たせた。「Hey Jude」は、そういう時に聞く曲のひとつだった。
 
最近になって、私は父の浮気をある程度受け入れ、父の恋人と連絡を取った。父の恋人には、子供の頃に時々会う機会があって、両親が離婚してからはそれっきり会っていなかった。私も会いたいとは思わなかったし、向こうもそうだったと思う。まだ深い話はできていないけれど、これから私自身、良い方向に進んで行ければと思う。本来、私は特に臆病な人間だったわけではなく、母が臆病な人間だったのだと思うことにした。
 
 
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