yuhka-unoの日記

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味方を装ったいじめっ子

いじめの構造の中でよく見られることの一つに、直接明確な悪意を持っていじめて来る人間の他に、「私はあなたの味方よ」というポーズを取ってやって来るいじめっ子がいる。こういうタイプは明確で直接的ないじめっ子よりタチが悪い。本人はあくまでも善意のつもりで、自分の迷惑性を欠片も疑わず、迷惑性を指摘すると途端に逆ギレして手の平を返し、罵倒する側に回るからだ。
 
味方を装ったいじめっ子は、初期段階では、直接いじめるでもなく、いじめを止めようとするでもない、「その他大勢」であることが多い。一見いじめられている人間に友好的に振舞うが、本人の前では友好的に振舞っておいて、陰で噂を広めたりする。本人から情報を聞き出し、聞き出した情報を噂仲間に広めて「情報通」ぶることが目的だ。
噂を広める人は、他人をいじめられる状況に追い込むだけ追い込んでおいて、いじめに遭っているその瞬間に助けるようなことは絶対にしない。それで「直接殴ったり罵倒したりしてるわけじゃないから悪くないもん!」って思ってる。超無責任。
 
一見友好的に見えるというのは、「私はあなたが○○なことを恥ずかしいとは思わない。だから堂々としていればいいのよ!」と言ったり(別に本人は、自分が○○であることを恥ずかしいとは思っていなくても、周囲の人間が恥ずかしいことだと認識しているが為に、それを堂々と表明することが困難なのだ)、「こうすればいじめられないよ」という、それはもう本人だって既に試しましたよという、的外れで何の役にも立たない自衛論を上から目線でアドバイスしてくれちゃったりすること。
でも、いじめの現場において、いじめっ子に対して「いじめを止めなさい!」と言うようなことは絶対にしない。なぜしないのかと問うと、「あなたが自分で立ち向かって解決しないと、意味がないでしょ」などと言う。そして、いじめっ子が立ち去ってから、「こうすれば良いって言ったでしょ?どうしてしなかったの?」と言って、いじめられっ子の行動を評価・採点をして下さる。
 
上から目線でアドバイスして支配欲を満たし、「いじめられっ子の味方してあげる親切なワタシ」という自意識も満たせる、超おいしいポジション。しかも感謝まで要求するという図々しさ。
噂を広めつつ、「あなた、よくあの人に付き合ってあげてるわねー」と言ってくれる噂仲間に対して、「ほら、私って、困ってる人を見るとほっとけないからさ」なんて言っちゃってる。先生から「○○ちゃんと一緒にいてあげるなんて偉いね。これからも仲良くしてあげてね」と褒められるのが快感。
 
本人はあくまでも、いじめに反対し、いじめられている人を助ける、親切で正義感の強い善良な人のつもりでいる。自分はいじめられっ子の味方であり、感謝されて当然の立場であり、そんな自分を跳ね除けたり反論したりする権利など、いじめられっ子にはないということになっている。
こういう人は、いじめられている人からは当然感謝されず、むしろ非常に迷惑がられるのだが、本人はなぜ感謝されないのかわからず、「人がせっかく親切にしてあげてるのに、あの人はひねくれた恩知らずだ。あんな態度だからいじめられるんだ」と思い込む。「そんな態度だからいじめられるんだよ!勝手にすれば!」と言い捨てて離れておいて、しばらくすると近づいてきて「ほら、やっぱり私がいないと寂しいでしょ?一人は辛いでしょ?」と擦り寄ってくる。
 
要するに、支配欲を満たし、感謝の気持ちを搾取し、自分を全て受け入れて欲しいという欲求を、いじめられっ子を使って満たしたいというだけだ。味方を装ったいじめっ子は、被害者や弱者の立場に立たされた人達に、ハイエナのように群がって来る。
 
 
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