yuhka-unoの日記

旧はてなダイアリー(http://d.hatena.ne.jp/yuhka-uno/)からの移行

機能不全社会―おかしいのは引きこもりか、それとも社会か―

精神科医やカウンセラーの元に、親が子供を「この子おかしいんです」と言って連れて来る。なるほど確かにその子は、引きこもりだったり自傷行為があったり摂食障害だったり深夜徘徊をしたり、何かしらおかしい。しかし、その子がおかしくなった原因をよくよく掘り下げてみると、実はその子よりも、その子を「おかしいんです」と言って連れて来た親のほうがよっぽどおかしかった。むしろその子は家族メンバーの中では一番まともだった。こういうことは、臨床心理の現場ではよくあることらしい。
つまり、その子はその家庭の犠牲者なのである。家庭が抱えている問題や、他の家族メンバーのストレスを、その子が一気に引き受けているという構造になっているため、その子に問題が表れているのだ。他の家族メンバーが一見普通に見えるのは、問題やストレスをその子に肩代わりしてもらっているからであり、その子の犠牲の上に「普通の人」「普通の家庭」という外見を取り繕っているのである。
機能不全家庭の構図は、このようになっていることが多い。
 
もしかしたら、この機能不全家庭における問題を抱えた子供と親の構図は、そのまま引きこもりと現代社会の構図に置き換えることができるのではないだろうか。つまり、世間で一見普通に生きている人たちは、引きこもりのことを「おかしい」と思っているが、実は引きこもりよりも社会のほうがよっぽどおかしいのではないか。引きこもりは、機能不全状態に陥っている現代日本社会の問題が現れている存在なのかもしれない。
 

 家や自室に閉じこもって外に出ない若者の「ひきこもり」が全国で70万人に上ると推計されることが、内閣府が23日に発表した初めての全国実態調査の結果から分かった。将来ひきこもりになる可能性のある「ひきこもり親和群」も155万人と推計しており、「今後さらに増える可能性がある」と分析している。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=28388

70万人とは、最早個人の問題ではなく社会の問題だろう。