yuhka-unoの日記

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パターンではなく個人を見るということが、人格を尊重するということかもね

まさに「受け取り方は人それぞれ」で、「女性だから」と言ってひとくくりには出来ない。

「これが正しい女性への接し方です」などと言うものは存在しないのである。

もういっその事、男性は女性を相手にしない方が良いのかもしれない。そんな事すら思うがそうは行かない。 
http://d.hatena.ne.jp/Paris713/20100526/p1

 
これを読んだ時の私の感想は、正直なところ「は?当たり前じゃね?」だった。
これは「女性」の部分が「男性」でも「日本人」でも「若者」でも何でも当てはまることで、こんなことで「もういっその事、男性は女性を相手にしない方が良いのかもしれない。」とか言ってたら、女性どころか人間全員相手にしない方が良いということになってしまうのではなかろうか。
 
そもそも、人間関係の基本は個人を見ることにある。何が嬉しくて何が嫌なのか、同じことでもどの程度傷付くのかということは、それこそ個人個人違っていて当たり前なのであって、それを無理矢理属性に分けてパターンに当てはめて考えようと思うから色々とおかしなことになってくるのだ。
これはもう本当に女性に限った話ではないわけで、例えば、世の中には風俗に行くのが嫌な男性だって存在するのだが、「男というものは皆風俗に行きたがるものだ」と、パターンに当てはめた思い込みから、嫌がる男性を無理矢理風俗に連れて行ったり、断ったからといって嫌味を言ったりするのはダメなわけですね。
 
「女(男)なら皆喜ぶはずなのに嫌がるお前はわがままだ」とか言うから暴力になるわけで、最初から感じ方には個人差があるものと思っておけば、重大なセクハラに至る前に、「私そういうの苦手なんです」「ああそっかごめん」で済む話なのだ。
実際、「脚が奇麗だね」と言って喜ばれる人、もっと言うと、下ネタを言っても許される人というのは、周囲の人間から「この人は、こっちが本気で『やめて』と言った時には、すぐにやめてくれるだろう」というふうに思われて信頼されている人が多い。反対に、「脚が奇麗だね」と言って警戒される人や、下ネタが冗談に聞こえない人というのは、大抵の場合、周囲の人間に「この人は、こっちが『やめて』って言ってもやめてくれそうにないから怖い」と思われている。
 
何が嬉しくて何が嫌なのか、同じことでもどの程度傷付くのかということは、個人個人で違うのだから、個人を見て付き合うこと。なので、相手に嫌だって言われたらやめること。これが相手の人格を尊重するということであり、非常にシンプルで当たり前の結論だと思う。
 
しかし、世の中には、個人を見ることを非常に面倒臭がるというか、苦痛に感じてしまって、人間をパターンに当てはめないと安心できない人がいるらしい。
こういう人は、人間関係において「こう接すれば絶対に間違いない」というものを求めているのだと思う。その裏には、人間関係に失敗すること、即ち、相手にNOと言われることを極度に恐れる心理が潜んでいるように感じる。
 
以前のミニスカ自衛論議では、「夜道をミニスカで歩いていたのなら、レイプされても仕方ないよ」という言説に「なんでレイプに至る前に、相手に『やらせて下さい』って言う過程をすっ飛ばすの?」という反論がなされていたけれど、これはおそらく、『やらせて下さい』と言って女にNOと言われることを恐れる心理があるのだと思う。
「女にNOと言われるのが怖い」という心は、女のパターン化に繋がりやすい。もっと進んで「女にNOと言う隙を与えたくない」と思うようになると、「夜道をミニスカで歩いていたのなら、レイプされても仕方ないよ」というような、レイプの責任を女に被せる言説を生み出して広めることに繋がっていく。
 
まぁ色々言ったけど、人間関係のことだから、相手を意図せず傷付けてしまうことは避けられないとしても、普段から個人を尊重するという態度で目の前の相手に接していれば、そうそうセクハラで訴えられるということはないんじゃないですかね?
日本のセクハラ認識がどこか表面的なのは、この「個人の権利を尊重する」という意識が欠けているからだと思うし、これは何もジェンダーの問題に限ったことではなくて、例えば日本の労働環境がいつまでたっても改善されないのも、「個人の権利を尊重する」という意識がなかなか浸透していないからだと思う。
 
最後に、誤解の無いように言っておくけど、「現代社会には、パターンに当てはめられたジェンダー観や役割が存在していて、そこからこういう問題が発生している」という話に対して、「そんなの女(男)だけに限らない!パターンに当てはめるな!」と言うのは、的外れな反論ですよ。